ツクシのエロいい話(2012)

2019.8.18 Prime Video

 

言っちゃなんだが、こんな作品で泣いてる自分にびっくりしてる。

勝手にふるえてろ』よりも先行した妄想→現実の転調、『タクシードライバー』→練習台の練習→鏡の伏線回収の鮮やかさ、字幕とケロちゃんの語り口の巧さに打ち震える。

話はベタベタな転落物語なのだけど、横移動の包帯ダンスとか手編みのマフラーなどの細かい配慮とフックに満ちており唯一無二のドラマに仕上げる手腕。コンビニのアルバイトからいつの間にか風俗嬢に身をやつしていることもさりげなく物悲しい。

楽しい、悲しい、でもやっぱり楽しい。こういう映画に出会いたいから映画を見ているんだよ!

 

気狂いピエロ(1965)

2019.8.20 DVD②

 

正直言って何度見ても辛いところが多い。ゴダールははっきりマチズモなところがあって、今作に関しても男であるジャン=ポール・ベルモンドにマッチョなロマンチシズムを託しているところに辟易とする。男が言葉と思想、女が音楽と感情?勘弁してくれ。

しかし、そんな男に、この映画は容赦なく拷問と愛する人の死を与え、自殺させる。この自殺の解放感がたまらなく好きだ。ラスト、顔を青く染めたジャン=ポール・ベルモンドが歩きながら叫ぶところが大好きで、何度も真似したくなる。最後の断崖での爆発→海のパンショットに、ちっぽけな希望を見るものは少なくないと思う。

辛い映画だし、何度見ても分からない。だけどもう一回見たい。映画とは困ったものだ。